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スクールの課題作品は、そのままポートフォリオにしていい?未経験が確認すべき権利のルールと「見飽きられる」問題【2026年版】

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スクールのカリキュラムを終えて、いよいよ応募という段階になると、多くの人が同じところで手が止まります。

「この卒業制作、そのまま出していいんだろうか」

作ったのは自分です。何十時間もかけて、エラーで詰まりながら仕上げました。それでも不安が残るのは、教材の手順に沿って作った部分が確実にあるからです。ここで頭に浮かぶのは、たいてい次の2つでしょう。

  • 勝手に公開して、スクールの規約や著作権に引っかからないだろうか
  • 教材どおりの作品を出して、採用担当にすぐ見抜かれないだろうか

この記事で最初にお伝えしたいのは、この2つはまったく別の問題で、対処法も違うということです。混ぜたまま悩むと「怖いから出さない」という一番もったいない結論になりがちなので、順番に切り分けていきます。

なお、権利まわりの記載は一般的な考え方の整理です。個別の契約書・規約の解釈については、最終的にはスクールや専門機関にご確認ください。

そもそも「そのまま出す」の何が引っかかるのか

整理すると、悩みの正体はこうです。

問題A(権利の話):公開したり企業に渡したりしてよい素材なのか。ここは「ダメなら差し替える」で解決できる、事実確認の作業です。

問題B(評価の話):出したときに、選考で有利に働くのか。ここは正解が1つに決まらない、見せ方の工夫の話です。

多くの記事は問題Bだけを扱いますが、未経験者が実際に手を止めているのは問題Aであることが多いというのが体感です。しかも問題Aは、調べれば数日で片づきます。まずこちらから見ていきます。

問題A:コードは自分のものでも、教材と素材は別枠

日本の著作権法では、プログラムは著作物として扱われます。そして著作者は原則としてそれを実際に作った人です。

会社員が仕事として作ったプログラムは、一定の条件を満たすと会社が著作者になる仕組み(職務著作)がありますが、スクールの受講生はスクールの従業員ではないため、この仕組みは通常あてはまりません。つまり、自分で書いたコードについては、原則として自分に権利があると考えて差し支えありません。

ただし、ここに3つの但し書きが付きます。

1つめ:受講契約・利用規約で別の定めがある場合がある。 権利の帰属や成果物の公開可否を、契約や規約で決めているスクールもあります。法律の原則より、当事者間で結んだ契約が優先される場面です。受講規約のPDFや会員ページを開いて「著作権」「成果物」「二次利用」「公開」あたりの語で検索してみてください。何も書かれていないことも珍しくありませんが、書かれていないことを確認するのも立派な前進です。

2つめ:教材そのものと配布素材は、自分の権利ではない。 自分が書いたコードと、スクールが用意した教材・サンプルコード・デザインテンプレート・画像素材は別物です。とくに配布された画像やイラスト、有料フォント、デザインカンプは、スクールが第三者から利用許諾を受けて受講内でだけ使えるようにしているケースがあります。「受講中に使ってよかった」と「ネットに公開してよい」はイコールではありません。 公開版では、自分で用意したフリー素材やダミーデータに差し替えるのが安全です。

3つめ:チーム開発の作品は、自分ひとりの判断で出せない。 複数人で分担して作り、切り分けられない形になっている作品は、共同で権利を持つ状態になり得ます。この場合、公開などの取り扱いは原則として関係者全員の合意が必要です。実務的には、チームのメンバーとメンターに一言確認し、了承をチャットなど記録に残る形でもらっておくだけで十分なことがほとんどです。

もう1つ、法律というより企業側の心証の話ですが、実在サービスをまねた「クローン系」の作品を公開するときは、ロゴやブランド名、公式の画像をそのまま使わないのが無難です。学習題材としてクローンを作ること自体はごく一般的ですが、公開物に他社のロゴが乗っていると、権利感覚を疑われる余計なリスクを背負うことになります。

問題B:採用側は、同じ作品を何度も見ている

こちらが本題です。

エンジニア採用の現場からは、教材の内容をそのまま写した成果物(いわゆる写経)は評価しづらいという声が繰り返し出ています。同じスクールの卒業生が同じ時期に応募してくるため、担当者から見ると同系統の作品が何本も並ぶ状態になるからです。定番として挙げられやすいのは、SNSのクローン、フリマアプリのクローン、架空企業のコーポレートサイトあたりです。

ここは冷静に受け止めてほしいのですが、これは**「スクールの課題に価値がない」という話ではありません**。カリキュラムをやりきったこと自体は、継続力の証明になります。問題なのは、作品そのものが「あなたが何を考える人か」をまったく語っていない、という点だけです。

採用側が見たいのは、突き詰めると次の3つに集約されます。

  • 教材にない要素を、自分で調べて足せているか
  • なぜその機能・その技術を選んだのか、理由を説明できるか
  • 詰まったときにどう切り分けて解決したか

言い換えると、評価されているのは完成品の豪華さではなく、意思決定の跡です。そしてこの3つは、ゼロから作り直さなくても満たせます。

3つの出し方を比べる

現実的な選択肢は3つです。それぞれの向き不向きを並べます。

ポートフォリオ | スクール課題の扱い方

課題作品をどう出すかの3択

転職活動の残り時間によって、選ぶべき現実解は変わります

選考での差別化準備にかかる時間権利・素材の確認
課題をそのまま提出 教材どおり × 似た作品が並びやすい 追加の作業はほぼ不要 配布素材の差し替えは必要
課題を土台に機能を足す 改造版 自分で決めた差分を語れる 数週間の上乗せ作業 土台部分の扱いを要確認
ゼロから自作する オリジナル 題材から自分で選べる × 月単位の時間がかかる 素材選定が自分で完結
  • ※どれを選んでも、面接で「自分がどこを担当し、何を判断したか」を説明できることが前提です

IT転職ナビ

働きながら転職活動をしている人にとって、現実的な落としどころは**まん中の「改造版」**であることが多いはずです。ゼロから作り直すのは理想ですが、その間に応募が止まるコストは小さくありません。

「差分を足す」の具体的な進め方

改造版を選んだ場合、何を足せばいいのか。豪華な機能である必要はありません。教材に載っていない判断が1つ入っていれば足ります。

現実的で、かつ話しやすいのは次のような方向です。

  • 題材をずらす:汎用的なタスク管理アプリを、前職の業務で実際に困っていた作業に寄せる。飲食店の勤務シフト、介護記録の申し送り、塾の欠席連絡など、自分だけが知っている不便は最強の差別化材料です
  • 機能を1つだけ深掘りする:検索を全文検索にする、通知をメール送信まで通す、CSVの取り込みに対応する。範囲を絞れば数日から2週間程度で足せます
  • 裏側を整える:テストを数本書く、エラー時の表示を作り込む、READMEに設計意図を書く。地味ですが、実務経験者ほど評価する部分です
  • 数字で語れるようにする:表示が遅かった箇所を直して体感が変わった、といった前後比較を残しておく

逆に、あまり効かないのが「ライブラリを足して見た目を派手にする」「機能を10個並べる」方向です。数が増えるほど1つあたりの説明が薄くなり、「なぜそれを作ったのか」に答えられなくなります。

自分がどの職種を軸に見せるべきか迷っている段階なら、作り込みに入る前に方向性を決めておくと手戻りが減ります。判断材料としてIT/Web転職タイプ診断(無料)のような簡易的な整理を挟んでおくのも一案です。

面接では、正直に言ったほうが強い

ここが一番の誤解ポイントです。

「スクールの課題です」と言うと不利になる、と思って隠す人がいますが、逆効果になりやすいというのが実情です。担当者は同種の作品を何度も見ているので、隠したところで気づかれる可能性が高く、そのときに失うのは技術評価ではなく信頼のほうです。

おすすめは、最初から構造を開示してしまう言い方です。

「カリキュラムの課題として作ったアプリが土台です。そこに、前職で紙で管理していたシフト調整の機能を自分で追加しました。理由は◯◯で、実装では△△に詰まって、□□の方法で解決しています」

この一文には、採用側が見たい3点(自分で足した部分・選んだ理由・詰まりの解決)が全部入っています。土台が課題であることは、まったく傷になりません。

READMEにも同じ構造で書いておくと、書類段階で読んでもらえます。順番は「何ができるアプリか → 誰の何を解決するか → 自分が追加・変更した箇所 → 使った技術と選定理由 → 苦労した点と解決方法」です。自分の担当範囲を明記する欄を必ず作ってください。 チーム開発作品では、これが無いと評価のしようがありません。

なお、実装や学習の過程で生成AIを使ったかどうかも、同じく隠す必要はありません。使い方と理解度を説明できるかどうかが見られています。

提出前チェックリスト

出す直前に、次の6つを確認してください。

  1. 受講規約に成果物の公開・権利についての記載があるかを検索して確認した
  2. 配布素材(画像・フォント・デザインデータ)を自前のものに差し替えた
  3. 他社のロゴ・ブランド名・公式画像を使っていない
  4. チーム開発の場合、公開についてメンバーとメンターの了承を記録に残る形で得た
  5. API キーやパスワードがソースコードに残っていない(公開リポジトリでは特に重要)
  6. ダミーデータに実在の個人情報が混ざっていない(前職のデータをそのまま使わない)

5と6は権利の話ではありませんが、見つかった瞬間に一発で評価が落ちる項目です。実務でも同じミスが事故につながるため、採用側は必ず見ます。

迷いが消えないときは、企業側の目で見てもらう

ここまでの内容を1人で実行しようとすると、「自分の差分は差分として認めてもらえるレベルなのか」という部分だけは、どうしても判断がつきません。ここは経験の量がものを言う領域なので、未経験者が自力で答えを出せなくて当然です。

その場合は、未経験者のIT就職を専門に扱っているサービスに、作ったものを見せて反応をもらうのが早道です。求人を紹介する立場の人は、企業に提出したときの通りやすさを実際に見ているため、「この差分は面接で話せる」「ここはもう一段いる」といった感覚を持っています。

相談したからといって、その場で応募先を決める必要はありません。ポートフォリオの見え方について第三者の意見を1つ持っておくだけでも、書き直しの往復が減ります。

よくある質問

Q. スクールの課題を提出すると、それだけで落とされますか。

A. 課題であること自体を理由に落とす、という運用は一般的ではありません。ただし、教材どおりのままで説明が何もない状態だと、他の応募者との差が付かないのは事実です。落ちる原因は「課題だから」ではなく「判断の跡が見えないから」と考えるほうが実態に近いはずです。

Q. 卒業後に、課題のコードを GitHub で公開しても大丈夫ですか。

A. 自分が書いたコードについては原則として問題になりにくい一方、教材の文章やサンプルコードをそのまま含めて公開するのは避けるべきです。スクールの規約に公開についての定めがないかを先に確認し、不安があれば運営に直接聞いてください。「規約に書いていないので確認したい」という問い合わせは、まったく失礼ではありません。

Q. チーム開発の作品で、自分の担当が小さかった場合はどう書けばいいですか。

A. 盛らずに、担当範囲を正確に書いてください。担当が小さいこと自体はマイナスではなく、そこで何を判断したかのほうが見られます。 加えて、チーム内でどう連携したか(レビューの受け方、詰まったときの相談の仕方)は、未経験者の選考では技術と同じくらい評価されます。

Q. 課題を土台にした改造版と、小さくてもいいから完全オリジナル、どちらが有利ですか。

A. 一概には言えません。残り時間が3か月以上あり学習を継続できるならオリジナルに寄せる価値がありますが、すでに応募を始めている段階なら、改造版を仕上げて出すほうが機会損失は小さいと考えます。転職活動は、応募が止まっている期間そのものがコストになります。

Q. スクールに「作品は公開しないでください」と言われたら。

A. その指示には従ってください。その場合は、コードを公開する代わりに、画面キャプチャと設計の説明資料を用意して面接で見せる方法に切り替えます。「公開は規約で控えている」と伝えれば、規約を守る人だという評価にこそなれ、マイナスにはなりません。

まとめ

整理します。

  • 「そのまま出していいか」の悩みは、権利の問題と評価の問題が混ざっている。先に権利のほうを片づける
  • 自分が書いたコードは原則として自分のもの。ただし受講規約の定め・配布素材・チーム作品の合意の3点は必ず確認する
  • 採用側が敬遠するのは課題であること自体ではなく、教材どおりで判断の跡が見えないこと
  • 現実解は多くの場合「課題を土台に、自分の差分を1つ足す」。題材を自分の前職に寄せるのが最も差が出る
  • 面接では土台が課題であることを隠さず、追加した箇所と理由をセットで話す
  • 提出前に、素材の差し替え・秘密情報の混入・個人情報の6項目をチェックする

ポートフォリオは、うまい人を選ぶための道具というより、その人がどう考えて手を動かすかを見るための道具です。そう捉え直すと、スクールの課題は不利な出発点ではなく、単なる土台に変わります。

ここに書いた内容は判断材料を増やすためのものであり、特定の進め方をすれば転職できると保証するものではありません。

あわせて読みたい

参考情報

  • 公益社団法人 著作権情報センター(CRIC)「著作権Q&A」(著作物・著作者の基本的な考え方。最終確認日:2026-08-31) https://www.cric.or.jp/qa/
  • 久松剛「エンジニア採用担当者が語る新卒・未経験エンジニアが今作るべき『自主制作物』『ポートフォリオ』」(採用側から見た教材そのままの作品の受け止め。最終確認日:2026-08-31) https://note.com/makaibito/n/naa4852c86d44
  • ウズウズ(UZUZ)公式サイト(対象層・就業サポートの記載。最終確認日:2026-08-31) https://uzuz.jp/

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、転職・収入を保証するものではありません。著作権や契約に関する個別の判断については、受講中のスクールの規約・契約書面をご確認のうえ、必要に応じて弁護士等の専門家にご相談ください。