不安解消

未経験のIT転職、試用期間で本採用されないことはある?法律のルールと入社前後にできる対策【2026年版】


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内定が出て、入社日も決まった。ほっとしたのも一瞬で、雇用契約書に「試用期間3ヶ月」と書かれているのを見つけて、また別の不安が湧いてくる——。

「未経験で入るのに、3ヶ月でものにならなかったら切られるのでは」 「試用期間中は給料が低いって書いてあるけど、これは普通なの?」 「もし合わなかったら、試用期間なら辞めやすいのかな」

未経験からのIT転職では、このあたりが最後の関門になりがちです。経験者なら「まあ大丈夫だろう」と流せるところが、未経験だと「自分は評価されるだけの何も持っていない」という前提で読んでしまうため、必要以上に重く見えてしまいます。

結論を先に書きます。試用期間中でも、あなたは法律上ふつうの労働者です。本採用を断るには会社側に客観的な理由が必要で、「思ったより伸びなかった」程度では認められません。ただし、それは「何をしても安全」という意味ではないので、線がどこにあるのかを具体的に見ていきます。

試用期間は「お試し期間」ではなく、すでに始まっている雇用契約

まず押さえたいのは、試用期間は入社前の選考の続きではないという点です。

法律の世界では、試用期間つきの雇用契約は「解約権留保付労働契約」と呼ばれます。会社が「見極めのために契約を解除する権利を残したうえで結んだ、正式な労働契約」という意味です。契約はもう成立しているので、試用期間中に会社が「本採用しません」と言うことは、法的には新規採用の見送りではなく解雇にあたります。

この考え方を示したのが、三菱樹脂事件の最高裁判決(最大判 昭和48年12月12日)です。ここで示された基準は、本採用拒否は「解約権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合」にのみ許されるというものでした。さらに具体的には、採用時には知ることができず、知ることも期待できなかった事実を後から知った結果、雇い続けるのが適当でないと判断することが客観的に相当な場合、と説明されています。

長い言い回しですが、未経験者の立場に翻訳するとこうなります。

  • 面接で「未経験です」と伝えて採用された → 未経験であること・スキルが低いことは会社が最初から知っていた事実です。それを理由に本採用を断るのは、上の基準に合いません
  • 経歴や資格を偽っていた、無断欠勤が続いた、重大な規則違反があった → 採用時に知りようがなかった事実なので、理由になり得ます

つまり、未経験入社で最も怖い「スキルが足りないから切られる」は、法律の建前上は最も通りにくい理由です。ここは知っておくだけで、入社後の3ヶ月の心持ちがだいぶ変わります。

なお、試用期間中の解雇は通常の解雇よりハードルがやや下がるとされている点は事実です。「絶対に解雇されない」ではありません。あくまで、会社が自由に判断できるわけではない、という理解が正確です。

まだ入社先を決める前の段階で読んでいる人は、自分がどの職種・どの会社タイプに向いているかを先に整理しておくと、試用期間の不安そのものが小さくなります。IT/Web転職タイプ診断(無料) で方向性のあたりをつけてから読み進めてください。

「入社14日」で扱いが変わるルールがある

もう一つ、実務でよく出てくるのが日数のルールです。

労働基準法第21条4号により、試用期間中の人を入社日から14日以内に解雇する場合、30日前の解雇予告は不要とされています。14日を超えて働いた場合は、たとえ会社の定める試用期間中であっても、通常どおり30日前の予告か解雇予告手当が必要になります。この14日は暦日で数え、実際の勤務開始日(入社日)からカウントします。

ここで誤解しやすいのは、「14日以内なら自由に解雇できる」と読んでしまうことです。そうではありません。予告の手続きが省けるだけで、解雇そのものには前述の合理的な理由が必要です。入社1週間で「向いてなさそうだから明日から来なくていい」というのは、手続き上も理由の面でも通りません。

試用期間中と本採用後で、実際に何が違うのか

ここが一番誤解されている部分なので、整理しておきます。

未経験IT転職 | 試用期間の扱い

試用期間中と本採用後で変わるもの・変わらないもの

「試用期間だから何もない」は誤解です

社会保険有給休暇の起算解雇のハードル
試用期間中 入社日から 要件を満たせば入社日から加入義務 雇い入れ日から通算される 本採用後よりは下がるが理由は必要
本採用後 試用期間満了後 同じく加入 入社6ヶ月で10日付与 客観的に合理的な理由+相当性が必要
  • ※社会保険は労働時間などの加入要件を満たす場合。手続きは雇用日から5日以内に行うのが原則です
  • ※年次有給休暇は入社から6ヶ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に付与されます

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ポイントは3つです。

1. 社会保険は試用期間中も入る

「試用期間が終わってから社会保険に入れます」という説明を受けたら、それは原則としておかしい話です。加入要件を満たしていれば、入社初日から加入義務が発生します(手続きは雇用した日から5日以内が原則)。未経験入社では「まだ見習いだから」という言い方で先延ばしされるケースがあるので、ここは強く覚えておいてください。

2. 有給休暇の起算日は入社日

年次有給休暇は、雇い入れの日から6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した人に付与されます。試用期間はこの継続勤務期間から切り離されません。つまり**「試用期間が明けてから6ヶ月」ではなく「入社日から6ヶ月」**で有給が発生します。

3. 給与は下げてもよいが、下限がある

試用期間中だけ給与を低くするのは、それ自体は違法ではありません。ただし条件があります。

  • 労働基準法第15条により、試用期間中の金額を採用時に書面で明示する必要があります。求人票にも雇用契約書にも書かれていなければ、通常の給与が適用されるという整理になります
  • 最低賃金は試用期間中も適用されます

例外として、最低賃金法第7条の「減額の特例許可」制度があり、試用期間中の人については最低賃金額から最大20%以内の減額が認められる場合があります。ただしこれは都道府県労働局長の許可が必要な例外で(申請は所轄の労働基準監督署へ提出)、適用できる期間も採用から最長6ヶ月です。許可を取らずに最低賃金を下回る賃金にすることはできません。

なお厚生労働省の調査をもとにした解説では、試用期間中の給与を下げている会社は2割程度で、差額は月1〜3万円程度が一般的とされています。通常給与の半額といった極端な差は、公序良俗に反すると判断される可能性が指摘されています。(最終確認日:2026-07-30。制度・金額は変わることがあるため、最新情報は厚生労働省および各都道府県労働局の公式サイトでご確認ください)

求人票で気をつけたい「試用期間=契約社員」のパターン

未経験向けIT求人でときどき見かけるのが、試用期間の部分だけ雇用形態が変わる書き方です。「試用期間3ヶ月(期間中は契約社員)」というような表記です。

これは前述の「試用期間つきの正社員契約」とは法的な構造が違います。有期の契約を結んでおいて、満了時に更新しないという形になり得るためです。実際の運用や裁判での評価はケースによりますが、求職者から見たときのリスクの見え方が変わるのは確かなので、比較しておきます。

求人票の読み方 | 雇用形態の書き方

「正社員+試用期間」と「試用期間は契約社員」の違い

同じ3ヶ月でも、契約の形が違います

契約の形期間満了時の扱い入社前に確認すべきこと
正社員+試用期間 よくある形 最初から無期の労働契約 本採用拒否は解雇として扱われる 期間の長さと延長規定の有無
試用期間だけ契約社員 要確認 期間の定めがある契約になる 更新しない形が取られる場合がある 正社員化の条件を書面で確認したい
  • ※実際の法的評価は契約内容や運用によって判断が分かれます。不安がある場合は労働局の総合労働相談コーナーなど公的窓口に相談してください
  • ※どちらの形でも、社会保険の加入義務と最低賃金は適用されます

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後者が必ず悪い会社だという話ではありません。ただ、**「正社員化の条件が書面で示されているか」**は必ず確認してください。「基本的にみなさん正社員になっています」という口頭説明だけで進めるのは避けたいところです。求人票と実際の労働条件を読み解く視点は、未経験IT就職で「紹介された会社」がブラックか見極める方法でも別角度から整理しています。

試用期間の延長は、勝手にはできない

「もう少し様子を見たいので試用期間を延ばします」と言われることもあります。

延長には、原則として就業規則に延長の規定があることが必要です。規定がない場合でも、勤務態度に業務上の支障があるなど客観的な理由があり、本人に事前に告知して合意を得たうえでなら可能という考え方が示されています。逆に言えば、理由の説明もなく一方的に延ばすことは想定されていません

延長を告げられたら、感情的に受け止める前に次の2点を確認してください。

  1. 就業規則のどの条文に基づく延長か
  2. 何ができるようになれば本採用になるのか(具体的な基準)

2つ目が答えられない会社は、正直なところ評価の仕組みがない可能性があります。それはあなたの能力の問題ではありません。

未経験入社で本当に危ないのは、スキルではなく「勤怠と報告」

ここまで法律の話をしてきましたが、実務の感覚も書いておきます。未経験入社で問題になりやすいのは、技術力そのものではありません。

  • 勤怠:遅刻・欠勤が重なると、理由として最も説明されやすい部分です
  • 報告の遅さ:詰まったまま半日以上黙っていると、能力ではなく姿勢の問題として見られます
  • 経歴・資格の申告違い:偽りがあった場合は、採用時に知り得なかった事実にあたります
  • 健康状態を隠す:業務に支障が出る事情は、必要な範囲で先に共有したほうが結果的に守られます

逆に言えば、時間を守る、詰まったら早めに聞く、言われたことをメモして次に活かす——これができていれば、未経験のスキル不足は「想定どおり」の範囲内です。入社直後の3ヶ月の具体的な立ち回りは、未経験でIT転職して入社後についていけないと感じたら|最初の3ヶ月の乗り越え方にまとめています。

入社前・入社直後にやるべき確認リスト

不安を減らす一番の方法は、契約書の該当箇所を自分で読むことです。入社前なら、次の項目を書面で確認してください。

  1. 試用期間の長さ(一般には1〜6ヶ月、3ヶ月が多いとされます)
  2. 延長規定の有無と、延長の条件
  3. 試用期間中の給与額(本採用後と違うなら、その差額も)
  4. 社会保険の加入日(入社日になっているか)
  5. 雇用形態(試用期間中も無期の正社員か、有期契約になっていないか)
  6. 本採用の判断基準(面談で口頭でも聞いておく)
  7. 就業規則を見せてもらえるか

これらは聞いても失礼ではありません。むしろ、条件をきちんと確認する人だという印象になります。答えを渋る、書面がない、というときこそ立ち止まるべきタイミングです。

そもそも入社先を選ぶ段階で、条件面の確認を自分ひとりで背負わずに済む方法もあります。未経験からITエンジニアを目指す人向けの就職サポートを使うと、求人票に書かれていない試用期間の運用や、過去に紹介した人がどうなったかを面談で聞けることがあります。まだ入社先が固まっていない人・条件面を誰かと一緒に確認したい人は、こうした無料の窓口を挟んでおくと判断材料が増えます。

未経験からITエンジニアを目指す就職サポート【ウズウズIT】

すでに社会人経験があり、働きながら次を探している・複数の求人の条件を並べて比べたいという人は、若手向けのエンジニア転職エージェントを使うと、求人ベースで試用期間や給与の相場感を確認できます。

自分らしく働けるエンジニア転職を目指すなら【strategy career】

いずれも面談を受けたからといって応募や入社が必須になるわけではありません。サービス内容・対象条件は変わることがあるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください(最終確認日:2026-07-30)。

自分から辞めたくなったときの考え方

逆のパターンにも触れておきます。入ってみたら想像と違って、試用期間中に辞めたくなることもあります。

法律上、試用期間中の退職は通常の退職と同じ扱いです。期間の定めのない契約なら、民法上は申し入れから2週間で退職できるのが原則で、就業規則で「1ヶ月前まで」と定めている会社もあります。「試用期間だから即日で辞められる」わけではない点は注意してください。

そして正直に書いておくと、短期での離職は次の転職で説明が必要になります。1〜3ヶ月での退職は職務経歴書に空白として残るため、聞かれる前提で理由を整理しておく必要があります。この説明の仕方は転職回数が多い・短期離職があると未経験のIT転職は無理?書類と面接での伝え方で扱っています。

判断の目安としては、次のように分けて考えると整理しやすくなります。

  • すぐ動くべき:残業代が出ない、給与が求人票と違う、社会保険に入れてもらえない、ハラスメントがある——これは適性の話ではなく法令の話です
  • 少し待ったほうがいい:仕事が難しい、周りができて見える、成長が実感できない——最初の数ヶ月は誰でもこうなります

前者に当てはまるなら、労働局の総合労働相談コーナーなど公的な窓口に相談してください。無料で、匿名でも相談できます。

よくある質問

Q1. 未経験で入社して、スキル不足を理由に本採用を断られることは実際にありますか?

制度上はあり得ますが、認められにくい理由です。未経験であることは会社が採用時から知っている事実で、三菱樹脂事件の基準にある「採用時に知り得なかった事実」に当たらないためです。実際の運用としても、試用期間中の解雇は稀とされています。もし言われた場合は、その場で合意せず、理由を書面でもらってから公的窓口に相談してください。

Q2. 試用期間中に「向いてないから辞めたら」と言われました。これは解雇ですか?

言い方によって扱いが変わる、重要な場面です。会社が一方的に契約を終わらせるのが解雇、あなたが自分の意思で辞めるのが自己都合退職、会社が勧めてあなたが応じるのが退職勧奨です。その場で退職届を書かないことが一番大事です。退職届を出すと自己都合退職になり、争いにくくなります。まずは「持ち帰って考えます」と伝えて、理由の説明を求めてください。

Q3. 試用期間が6ヶ月と書かれていました。長すぎませんか?

一般的には1〜6ヶ月で、3ヶ月が多いとされます。6ヶ月も範囲内ではありますが、長い側です。長期間になる場合は、その間の給与条件と、本採用の判断基準が明示されているかをより丁寧に確認してください。1年を超えるような設定は合理性が問題になり得ます。

Q4. 試用期間中でも有給休暇は使えますか?

原則として使えません。年次有給休暇は入社日から6ヶ月継続勤務して初めて発生するため、3ヶ月の試用期間中には通常まだ付与されていません。ただし起算日は入社日なので、試用期間分がリセットされることはありません。会社独自の制度で入社時から一定日数を付与するところもあるので、就業規則を確認してください。

Q5. 試用期間中に転職活動をしてもいいですか?

法律で禁止されているわけではありません。ただ、在職中の転職活動は時間の確保が課題になりますし、入社直後の応募は面接で必ず理由を聞かれます。Q&Aの前提として、まずは辞めたい理由が法令違反系(前述)なのか、慣れの問題なのかを切り分けてください。切り分けたうえで動くなら、その理由がそのまま次の面接での説明材料になります。

Q6. 試用期間の途中で正社員になれると言われましたが、書面がありません

口頭の合意も契約としては有効ですが、後から確認できないという点で弱い状態です。メールやチャットで「先日お話のあった〇月からの正社員登用について、条件を確認させてください」と送り、記録に残る形で返答をもらってください。記録が残るだけで、話が違ったときの立場がまったく変わります。

まとめ:不安の大半は、契約書を読むと消える

試用期間の不安は、「よく分からないまま始まる」ことから来ています。中身を確認すると、実は次の3行に集約されます。

  1. 試用期間中もあなたは正式な労働者で、社会保険も有給の起算も入社日から始まる
  2. 本採用を断るには客観的な理由が必要で、「未経験でスキルが足りない」は理由になりにくい
  3. だから守るべきは技術力より、勤怠と報告と、契約書に書かれた条件の確認

入社前にできることは、書面を読んで7項目を確認すること。入社後にできることは、時間を守って、詰まったら早く聞くこと。それだけです。

未経験のスタートは誰でも足元が不安定に見えますが、法律の側はあなたを保護する方向に設計されています。そこを知ったうえで、最初の3ヶ月を「試される期間」ではなく「覚える期間」として使ってください。

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参考情報

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、転職・収入を保証するものではありません。個別の労働トラブルについては、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士等の専門家にご相談ください。