SESを辞めたい…案件の途中でも辞められる?未経験1年目が辞める前に確認する5つのこと【2026年版】
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未経験からSES企業に入って数ヶ月から1年。常駐先の仕事が合わない、聞いていた業務と違う、人間関係がつらい。辞めたいと会社に相談したら、「案件が途中だから無理」「契約期間が残っているので、抜けるなら損害賠償になる」と言われた。この一言で動けなくなる人がいます。
先に結論をお伝えします。常駐先の案件が途中でも、自分が勤めている会社を辞めること自体は法律上できます。 ただし「明日から行かない」ができるかどうか、辞めたあとの生活費と職歴がどうなるかは別の話で、順番に確認することがあります。
この記事でわかることは3つです。
- 「案件の途中だから辞められない」に法律上の根拠があるのかどうか
- 辞めると決める前に確認する5つのこと(契約・お金・有給・次の仕事・書類)
- もう少し続けたほうがいい状態と、早く動いたほうがいい状態の分かれ目
雇用契約と、会社同士の契約は別のもの
まず整理したいのは、契約が2本あるという点です。1本目は、あなたと勤め先(SES企業)の雇用契約。2本目は、勤め先と常駐先の間で結ばれている業務の契約です。「案件の期間はあと半年」と言われるとき、それは多くの場合2本目の話をしています。
2本目の当事者は、会社と会社です。あなたはその当事者ではありません。常駐先との取り決めを守る責任も、辞めたあとの人員の穴埋めも、あなたを送り出している勤め先の側にあります。だから、案件が途中であることは、あなたが雇用契約を終わらせられない理由には直接なりません。
ここは正直に書きますが、「法律上できること」と「その辞め方で周囲との関係が保てるか」は別の話です。黙って翌日から行かない辞め方をすれば現場は混乱し、その混乱は一緒に働いていた人に向かいます。この記事では両方を分けて扱います。
「途中だから辞められない」に法律上の根拠はあるのか
退職の申し出については、民法と労働基準法にルールがあります。自分がどちらに当てはまるかは、雇用契約が無期か有期かで変わります。労働条件通知書か雇用契約書を手元に出して、契約期間の欄を見てください。
無期雇用(契約期間の定めなし)の場合
民法627条1項は、雇用の期間を定めなかったときは各当事者がいつでも解約の申入れをすることができ、雇用は申入れの日から2週間を経過することによって終了する、と定めています。会社の承諾は要件になっていません。SES企業の正社員は無期雇用であることが多く、その場合はこのルールが基本になります。
就業規則に「退職は1ヶ月前までに申し出ること」と書かれている会社は多いです。この定めがあっても、2週間より長い期間を労働者に強制できるとは限らない、というのが一般的な解説です。ただし裁判での判断は事案ごとに分かれるため、「就業規則は完全に無効」とも言い切れません。実務としては、まず就業規則の期限に沿って申し出るほうが、引き継ぎの時間も取れて揉めにくくなります。
なお、月給制の人が「給与計算期間の前半までに言わないと辞められない」と説明されることがあります。これは民法627条2項の話ですが、2020年4月施行の民法改正でこの2項は使用者側からの解約の申入れに限定されたと解説されています。労働者側からの申し出は月給制でも2週間が基本、という整理です(最終確認日:2026-09-13)。
有期雇用(契約期間の定めあり)の場合
契約社員として期間を区切って雇われている場合は扱いが変わります。民法628条は、期間を定めた場合でも「やむを得ない事由」があるときは直ちに契約を解除できるとしています。逆に言えば、その事由がなければ期間の途中で一方的に辞めることは無期雇用ほど簡単ではありません。ただし契約期間が1年を超える有期契約なら、労働基準法附則137条により1年を経過した日以後はいつでも退職できるとされています(高度専門職や60歳以上は対象外と解説されています)。
自分の状況が「やむを得ない事由」に当たるかは個別の判断で、記事で断定できる範囲を超えます。有期契約の人は、後述の公的な窓口に契約書を見せて聞くのが確実です。
違約金・損害賠償と言われたときの考え方
「途中で抜けたら違約金」「常駐先に払う損害金を負担してもらう」と言われたという相談は、SESに限らず見られます。ここで押さえておきたいのが労働基準法16条(賠償予定の禁止)です。
16条は、使用者が労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額をあらかじめ決めておく契約をしたりすることを禁止しています。「退職する場合は違約金30万円」といった定めがこれに当たり、違反した使用者には罰則の定めもあります(最終確認日:2026-09-13)。
一方で、注意点も正直に書きます。16条が禁止しているのは金額をあらかじめ決めておくことであって、現実に生じた損害についての賠償請求まで一律に禁止しているわけではない、というのが一般的な解説です。つまり「契約書に書いてある違約金」は無効の方向で考えられますが、「一切どんな請求も起きない」と言い切ることはできません。未経験で入って1年以内のエンジニアが常駐先を離れたことを理由に賠償が認められた事例が一般的だ、という情報も確認できませんでした。
やりとりで金額の話が出たら、次の3つをしてください。
- 言われた内容を、日付・相手・発言のメモとして残す(メールやチャットで来たものは消さない)
- 契約書・就業規則・研修費用の返還に関する誓約書があれば、その条文を手元にそろえる
- 自己判断せず、労働基準監督署の総合労働相談コーナーなど公的な窓口に相談する
研修費用の返還を求められるケースも、入社時に書いた誓約書の内容で話が変わります。現物を持って相談してください。
辞める前に確認する5つのこと
「辞められるか」と「辞めて大丈夫か」は別です。次の5つは、退職を申し出る前に自分で確認できます。
1. 雇用契約が無期か有期か
労働条件通知書か雇用契約書の「契約期間」欄を見ます。前章のどちらのルールになるかがここで決まります。書類が手元にない場合、労働条件の明示は使用者の義務なので、会社に再交付を求めて構いません。
2. 失業給付が受けられる状態かどうか
自己都合で辞める場合、雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)は、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あることが受給の要件とされています。入社から1年たっていない段階で辞めると、この要件を満たさず受給できない可能性があります。生活に直結するので、辞める前にハローワークで自分の被保険者期間を確認してください。
給付制限にも変更があります。2025年4月1日以降に離職した場合、自己都合退職の給付制限期間は原則1ヶ月に短縮されたと案内されています(それ以前は2ヶ月)。ただし5年以内に3回以上自己都合で離職していると3ヶ月とされ、一定の教育訓練を受けた場合に制限が解除される扱いもあります(最終確認日:2026-09-13)。
3. 有給休暇の残日数
年次有給休暇は、労働基準法39条により、雇入れの日から6ヶ月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に10労働日が与えられます(週5日勤務などの場合)。入社から半年を過ぎていれば残日数があるはずです。退職日までに消化するかどうかで、手取りの見込みが変わります。
4. 次の仕事をどう探すか
在職中に探すか、辞めてから探すかで金銭的な余裕がまったく違います。2の確認で失業給付が出ないと分かったなら、在職中に動くほうが安全です。就業時間が長くて活動時間を取りにくい場合も、いきなり辞めるより、まず面談の予約だけ入れて情報を集めるほうが選択肢は減りません。
5. 退職時に受け取る書類
労働基準法22条は、退職の際に使用期間・業務の種類・その事業における地位・賃金・退職の事由について証明書を請求されたら、使用者は遅滞なく交付しなければならないと定めています(労働者が請求していない事項は記入してはならないとも定められています)。離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証などとあわせて、受け取る書類を先にリスト化しておくと、辞めたあとの手続きで止まりません。
この5つを紙に書き出すと、「辞めたい」という気持ちが、いつ・どの順番で動くかという予定に変わります。順番を決めずに申し出るのがいちばん消耗します。
続けたほうがいい状態と、早く動いたほうがいい状態
辞める・辞めないの判断は、感情だけでは決められません。次の図は、よくある4つの状況について、続けた場合に得られるものと辞めた場合のリスクを並べたものです。
未経験SES | 案件の途中で辞めるかどうか
いま辞めるか、もう少し続けるかの見分け方
判断は「実務経験が積めているか」と「安全に働けているか」の2軸で分かれます
| 続けた場合に得られるもの | 辞めた場合のリスク | |
|---|---|---|
| 未経験可の開発・運用に入れている 実務経験が積み上がる | ○ 経験年数と作業内容が職務経歴書に書ける | × 短期離職の説明が必要になり、次の選考で不利になりやすい |
| 業務がIT業務から離れている ヘルプデスク以外の雑務中心など | △ 社会人経験は残るが、技術の経験年数は増えにくい | △ 短期離職にはなるが、待ち続けるほど年数を失う |
| 賃金の未払い・長時間労働がある 残業代が出ない、休日が取れない | × 健康と生活が削られる。会社側の法令違反の可能性 | ○ 労働基準監督署など公的窓口に相談しながら動ける |
| 聞いていた労働条件と実際が違う 勤務地・職種・給与が通知書と相違 | × 相違が続く限り改善の見込みは読みにくい | ○ 労働基準法15条2項による即時解除が問題になる場面 |
- ※契約内容・就業規則は会社ごとに異なります。自分の労働条件通知書と就業規則で確認してください
- ※個別の法的な判断は、労働基準監督署の総合労働相談コーナーなど公的な窓口にご相談ください
IT転職ナビ
上の2行に当てはまるなら、次の応募先を決めてから辞める順番のほうが有利です。下の2行に当てはまるなら、体調と記録を優先してください。
判断の材料が足りないと感じるときは、いまの状況が業界として普通なのかを外から見てもらうのが早い場合もあります。転職すると決めていなくても、20代向けのサービスなら相談だけの利用を受け付けているところがあります。
職種の方向そのものを見直したい場合は、IT/Web転職タイプ診断(無料)で開発職以外の候補も含めて整理しておくと、相談のときに話が早くなります。
会社側に問題がある可能性を見分ける
「辞めたい」の原因が自分の適性ではなく、働かせ方の側にあることもあります。次の3つは、公的な窓口に相談する材料になります。
労働条件が通知書と違う
労働基準法15条2項は、労働契約の締結の際に明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除できると定めています。「開発の現場と聞いていたのに、実際はまったく別の業務だった」といったケースです。使えるかどうかは、明示された条件が書面で残っているかに左右されます。通知書の読み方は未経験のIT転職、内定後の「労働条件通知書」はどこを見る?固定残業代・就業場所の変更の範囲・研修費返還の3点【2026年版】にまとめています。
常駐先から直接、細かい指示を受け続けている
SES(準委任)の契約では、指揮命令は本来、自社の側にあります。常駐先の社員から作業の進め方や勤務時間について日常的に直接指示を受けている状態は、偽装請負が疑われる形とされています。判断は実態によるため(厚生労働省が37号告示の疑義応答集を公開しています)、自分だけで結論を出さず、都道府県労働局の需給調整事業課に相談してください。
残業代が支払われていない・休日が確保できていない
賃金の未払いや長時間労働は、労働基準監督署が扱う領域です。出退勤の記録、常駐先の入退館記録、作業報告のメール、給与明細を残しておいてください。証拠は在職中のほうが集めやすく、辞めたあとは手に入りにくくなります。
相談先は次の3つです。いずれも公的な窓口で、費用はかかりません。
- 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局・労働基準監督署内):労働問題全般
- 労働条件相談ほっとライン(厚生労働省委託事業):平日夜間・土日祝も電話相談できる
- 都道府県労働局 需給調整事業課:派遣・請負の区分(偽装請負)について
辞めたあと、次の選考でどう説明するか
在籍1年前後で辞めると、次の応募では必ず理由を聞かれます。不利になりやすいのは、前の会社の批判だけで終わる説明です。「話が違った」が事実であっても、聞く側は「うちでも同じことを言うのでは」と考えます。事実を隠す必要はありませんが、話す順番を変えます。
- 何を期待して入ったか(開発の実務経験を積みたかった、など)
- 実際にどうだったか(事実を短く。感情的な形容は削る)
- 自分としてどう動いたか(上長に相談した、異動を打診した、学習を続けた)
- だから次はどういう環境を選びたいか
3が入ると、「合わないからすぐ辞める人」という読まれ方を避けやすくなります。SESで働いた経験そのものは職務経歴書に書けます。常駐先の企業名を出せない場合でも、業種・規模・担当した工程・使った技術の4点は書けることが多いです。
短期離職の伝え方は転職回数が多い・短期離職があると未経験のIT転職は無理?書類と面接での伝え方【2026年版】、退職理由の言い換えは未経験のIT転職、面接で退職理由をどう伝える?「本音」を不利にしない言い換えの手順【2026年版】、申し出から最終出社までの進め方は未経験のIT転職、内定後の退職交渉はどう進める?引き止め・有給消化・入社日調整の実務【2026年版】で扱っています。
よくある質問
Q. 常駐先の人に「辞めます」と先に言ってもいいですか。
先に伝えるのは自社の上長です。常駐先への説明とタイミングの調整は、契約の当事者である自社の役割になります。順番を飛ばすと、双方との関係が悪くなりやすいです。
Q. 「代わりの人が見つかるまで辞めさせない」と言われました。
代替要員の確保は会社側の仕事で、あなたの退職の条件ではありません。無期雇用であれば、民法627条1項により解約の申入れから2週間で雇用は終了するとされています。ただし強く引き止められている状況を記事だけで解決するのは難しいので、やりとりを記録したうえで総合労働相談コーナーに相談してください。
Q. 1年たたずに辞めると、次はどこにも受からないでしょうか。
受からないと断定できる情報は確認できませんでした。在籍期間が短いこと自体はマイナスに見られやすい一方で、説明の仕方とその後の在籍期間の積み方で評価は変わります。会社によって基準が違うため、一律には言えません。
Q. 失業給付をもらいながら次を探せますか。
自己都合の場合、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あることが必要とされています。入社1年未満だと要件を満たさない可能性があるため、辞める前にハローワークで確認してください。
Q. 会社が退職届を受け取ってくれません。
受け取りを拒まれた場合の対応は個別の事情で変わるため、手順は断定しません。契約書・就業規則・やりとりの記録を持って、総合労働相談コーナーに無料で相談できます。
まとめ
- 案件が途中であることは、自分の雇用契約を終わらせられない理由には直接ならない。契約は「自分と会社」「会社と会社」の2本に分かれている
- 無期雇用なら、民法627条1項で解約の申入れから2週間で雇用は終了するとされている。有期雇用は扱いが変わるため、まず契約期間の欄を見る
- 「途中で辞めたら違約金」という定めは労働基準法16条で禁止されている。ただし現実の損害の賠償請求まで一律に否定されるわけではないので、金額の話が出たら記録を取って公的窓口へ
- 辞める前に確認するのは、契約の種類・失業給付の要件・有給残日数・次の探し方・退職時の書類の5つ
- 賃金未払いや労働条件の相違は、我慢の問題ではなく相談の問題。在職中のほうが記録は集めやすい
まず動かす1手は、労働条件通知書を出して契約期間の欄を確認することです。そこが決まらないと、辞め方のルートが決まりません。
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参考情報
- 退職、解雇、雇止めなど - 確かめよう労働条件(厚生労働省)
- 相談機関のご紹介 - 確かめよう労働条件(厚生労働省)
- 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集(厚生労働省)
- 基本手当について - ハローワークインターネットサービス
- 労働条件相談ほっとライン(厚生労働省委託事業)
- 民法627条とは?退職の申入れや解雇予告についてわかりやすく解説(マネーフォワード クラウド契約)
- 労働基準法第16条とは?違約金・罰金の禁止をわかりやすく解説(マネーフォワード クラウド給与)
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