資格の受験料が自腹…会社に取れと言われたときの確認点
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未経験でエンジニアとして入社して半年。上司から「年内に基本情報を取っておいて」と言われたのに、受験料は自腹で、勉強も土日に自分でやるしかない。給料が高くない1年目には、7,500円の受験料も軽くありません。
結論から書きます。受験料を誰が払うかは、法律より先に会社の就業規則と資格の規程で決まります。 会社が社員に費用を負担させるなら、その決まりを就業規則に書く必要があります(労働基準法89条5号・常時10人以上の会社)。勉強や受験が「指示」として課され、しないと不利益があるなら、その時間は労働時間に当たる可能性があります。
最初に分けたいのは「指示」か「推奨」か
受験料と勉強時間の扱いは、会社の言い方が「指示」なのか「推奨」なのかで変わります。同じ「取っておいて」でも、意味が違うことがあります。
見分けるときは、次の3点を確かめます。
- 期限と対象者:「全員、年内に」のように期限と対象が決まっているか
- 取らなかったときの扱い:評価が下がる、配属されない、手当が出ないなど、不利益が決まっているか
- 業務とのつながり:その資格がないと、担当する予定の仕事に入れないとされているか
3つとも当てはまるなら、実質的に業務上の指示と見られやすくなります。どれも当てはまらず、「取れたら手当を出す」程度なら、自己啓発の推奨に近い扱いです。
資格取得 | 会社の言い方の違い
業務上の指示か、自己啓発の推奨か
どちらに近いかで、確かめることが変わります
| 勉強・受験の時間 | 受験料 | 取らなかったとき | |
|---|---|---|---|
| 業務上の指示 期限・対象・不利益が決まっている | △ 労働時間に当たる可能性 | △ 就業規則・規程を確認 | × 評価や配属に響くことがある |
| 自己啓発の推奨 取れたら手当・自由参加 | ○ 自分の時間で進めてよい | △ 自己負担のことが多い | ○ 不利益は決まっていない |
- ※労働時間に当たるかどうかは、実態にもとづいて個別に判断されます
- ※受験料の扱いは会社ごとに違います。就業規則と資格取得の規程で確かめてください
IT転職ナビ
受験料は就業規則と資格の規程で確かめる
受験料について確かめる場所は、就業規則と、会社によって別に作られている「資格取得支援」「報奨金」などの規程です。労働基準法には、受験料を会社と社員のどちらが払うかを直接決めた条文はありません。
一方で、労働基準法89条は、常時10人以上が働く会社に就業規則の作成と届出を義務づけています。その5号で、社員に「食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合」は、その内容を就業規則に書くよう定めています(e-Gov法令検索・最終確認日:2026-10-16)。
就業規則は、会社が社員に周知しなければならない書類です(労働基準法106条)。「見せてもらえない」状態は本来おかしいので、人事に保管場所を聞いてかまいません。
規程を開いたら、次の4点を見ます。
- 会社が負担する範囲:受験料だけか、教材費や講座の費用も含むか
- 負担の条件:合格したときだけか、不合格でも1回目は出るのか
- 対象の資格:一覧に今回の資格が入っているか
- 辞めたときの扱い:「◯年以内に辞めたら返す」といった条項があるか
基本情報技術者試験の受験料は7,500円(税込)です(IPA公式・最終確認日:2026-10-16)。合格したときだけ会社が出す決まりなら、不合格が続くほど自己負担が増えます。受験の回数を考える材料になるので、先に確かめておきます。
4つ目の返還の条項は、内容によっては労働基準法16条(賠償予定の禁止)との関係で問題になることがあります。線引きは辞めたら「研修費を返せ」と言われたときの確認手順で整理しています。
勉強時間が労働時間に当たる条件
勉強や受験の時間が労働時間に当たるかは、会社の指揮命令の下にあるかどうかで判断されます。厚生労働省のリーフレット「労働時間の考え方:『研修・教育訓練』等の取扱い」は、次のように整理しています(最終確認日:2026-10-16)。
- 業務上義務づけられていない自由参加の研修・教育訓練は、労働時間に当たらない
- 不参加が就業規則で減給の対象とされているなど、事実上参加を強制されている場合は、研修・教育訓練であっても労働時間に当たる
- 使用者の明示または黙示の指示で業務に従事する時間は、労働時間に当たる
同じリーフレットには、会社が指定した社外研修に休日の参加を指示され、後日レポートも課されるケースが「労働時間に当たる事例」として載っています。逆に、参加を強制せず、不参加でも不利益のない夜の勉強会は「当たらない事例」です。
資格の勉強に当てはめると、「全員必須・期限つき・取らないと評価が下がる」形で課されているなら、指示に近い側に入ります。ただし、最終的な判断は個別の事情で変わります。この記事だけで「残業代がもらえる」と決めつけず、記録を残して相談先に持っていく使い方をしてください。
記録として残しておきたいのは、次の3つです。
- 資格を取るよう言われた日と、言われた内容(チャットやメールはそのまま保存)
- 期限や、取らなかったときの扱いが書かれた資料
- 勉強した日時と時間の簡単なメモ
会社に聞くときは「確認」の形で短く
受験料のことを上司に聞くとき、「自腹はおかしい」と切り出すと話がこじれやすくなります。規程の確認として、事実だけを短く聞くほうが答えをもらいやすくなります。
チャットで送るなら、たとえば次のような文面です。
先日お話のあった基本情報の受験について、確認させてください。受験料や教材費の会社負担の決まりはありますか。規程があれば、どこで見られるか教えていただけると助かります。
答えが「自腹」だった場合も、すぐに反論しなくてかまいません。規程に書いてあるのか、慣習でそうなっているだけなのかを確かめるのが先です。規程に負担の定めがないのに自己負担になっているなら、人事に「規程ではどうなっていますか」と改めて聞けます。
勉強時間の扱いを聞くなら、「業務として勉強の時間を取ってよいか」を相談する形にします。業務時間内に週1時間でも勉強の枠をもらえれば、土日の負担は減ります。1年目の勉強との付き合い方はエンジニア1年目、土日も勉強しないとダメ?でも扱っています。
話がまとまらないときの相談先
会社に聞いても答えがあいまいなまま、自己負担と休日の勉強だけが続くなら、外の窓口に相談できます。都道府県労働局や労働基準監督署の中にある「総合労働相談コーナー」は、予約不要・無料で、労働条件のトラブル全般を受け付けています(厚生労働省公式・最終確認日:2026-10-16)。
相談するときは、前の章で書いた3つの記録を持っていくと話が早く進みます。「資格を取れと言われた日」「期限や不利益が書かれた資料」「勉強の日時」がそろっていれば、指示に当たるかどうかを具体的に見てもらえます。
残業が多く、勉強の時間そのものが取れない状態なら、資格の前に働き方の問題です。確かめ方はエンジニア1年目の残業がきついときの確認手順にまとめています。
費用を出さない会社か見直すときの考え方
受験料が自腹だというだけで、会社を辞める理由にはなりません。資格取得支援の制度があるかどうかは会社によって違い、制度のない会社も珍しくありません。
ただ、次の状態が重なっているなら、会社の育て方そのものを見直してよい時期です。
- 資格の取得を強く求められるのに、費用も時間も会社が一切出さない
- 不合格を人格の否定のような言い方で責められる
- 残業で勉強の時間が取れないのに、合格だけを求められる
次の会社を探すなら、求人票や面接で「資格取得の支援制度(受験料の負担・合格時の報奨金)」の有無を確かめると、同じことのくり返しを避けられます。今すぐ動くか決めていない段階でも、第二新卒の転職を扱う窓口に相談して、選び方を聞いておく方法があります。
自分に合う職種や働き方を先に整理したい人は、IT/Web転職タイプ診断(無料)も使えます。
よくある質問
Q. 会社に言われた資格の受験料は、会社が払うのが当たり前ですか?
A. 法律で決まっているわけではありません。労働基準法には、受験料の負担を直接決めた条文がないためです。会社が社員に費用を負担させる決まりを作るなら、就業規則に書く必要があります(89条5号・常時10人以上の会社)。まずは就業規則と資格の規程を確かめてください。
Q. 土日の勉強時間に残業代は出ますか?
A. 自由参加の勉強なら、労働時間には当たりません。勉強や受験が事実上強制されている場合は、労働時間に当たる可能性があります(厚生労働省のリーフレットによる)。判断は個別の事情で変わるため、記録を残して総合労働相談コーナーなどに相談してください。
Q. 受験料を会社が払ってくれたあと、辞めたら返す必要がありますか?
A. 規程に返還の条項があるかを最初に確かめます。「辞めたら返す」という決まりは、内容によっては労働基準法16条(賠償予定の禁止)との関係で問題になることがあります。個別の判断は公的な窓口や専門家に相談してください。
Q. 資格を取らなかったら評価は下がりますか?
A. 評価の項目に資格が入っているかは、会社によって違います。評価制度や資格手当の規程を見るか、評価面談で上司に確かめてください。
まとめ
会社に資格を取れと言われ、受験料も勉強時間も自分持ちになっているときは、次の順番で確かめます。
- 会社の言い方が「指示」か「推奨」かを、期限・不利益・業務とのつながりで見分ける
- 就業規則と資格の規程で、受験料の負担範囲・条件・辞めたときの扱いを読む
- 指示に近いなら、言われた内容と勉強の日時を記録に残す
- 上司には「規程の確認」として短く聞き、業務時間内の勉強の枠も相談する
- 答えがあいまいなまま負担が続くなら、総合労働相談コーナーに記録を持って相談する
あわせて読みたい
参考情報
- 労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い(リーフレット)|厚生労働省
- 労働基準法(16条・89条・106条)|e-Gov法令検索
- 試験スケジュール・受験手数料|IPA 独立行政法人情報処理推進機構
- 総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、転職・収入を保証するものではありません。労働条件や法令の適用は個別の事情によって判断が変わるため、具体的な問題は総合労働相談コーナーなどの公的窓口や専門家にご相談ください。