未経験のIT転職で内定取り消しされた…前職を辞めた後でも争える?確認手順と次の動き方【2026年版】
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未経験のIT転職で内定取り消しされた…前職を辞めた後でも争える?確認手順と次の動き方【2026年版】

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未経験からIT企業の内定をもらい、今の会社に退職届も出した。入社まであと2週間というところで、採用担当から「今回の内定は取り消しとさせてください」と電話が来る。頭が真っ白になり、何を聞けばいいのかも分からない。

先に結論をお伝えします。中途採用でも、内定の時点で労働契約は成立していると考えられています。取り消しは解雇と同じ厳しい基準で判断され、会社の都合だけで自由にできるものではありません。 前職を辞めた後の取り消しを無効とした裁判例もあります。

まずは電話口で承諾しないこと。そのうえで理由を書面でもらい、無料の窓口に相談するのが最初の一手です。

内定取り消しは解雇と同じ扱い

厚生労働省の労働条件ポータル「確かめよう労働条件」によると、採用内定は「始期付解約権留保付労働契約が成立した状態」とされています。入社日から働き始めるという約束つきで、労働契約がすでに結ばれているという意味です。

労働契約が成立している以上、内定の取り消しは解雇にあたります。労働契約法16条により、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない解雇は無効です。内定取り消しもこの考え方で判断されます。

「内々定」とは扱いが違う

同じポータルでは、内々定は多くの場合「労働契約を締結したとの認識には至っていない」とされています。ただし中途採用では、内々定の段階を置かずに内定通知を出す会社が一般的です。採用条件の提示書や内定通知書を受け取り、入社承諾書を返送していれば、内定として扱われる可能性が高くなります。

手元の書類の名前だけで決まるわけではありません。入社日・給与・職種が具体的に決まっていたか、他社の選考を断るよう求められたかなど、拘束の強さも見られます。

取り消しが有効になる条件

内定の取り消しが認められるには、次の2つを両方満たす必要があります。「確かめよう労働条件」が示している基準です。

  • 取り消しの理由が、内定を出した時点で会社が知ることができず、知ることも期待できなかった事実であること
  • その理由で取り消すことが、客観的に合理的で、社会通念上相当と認められること

経営悪化が理由なら「整理解雇の4要素」で見る

「業績が悪化したので採用を見送る」という理由の場合は、整理解雇の4要素で判断されます。人員を減らす必要性、解雇を避ける努力、対象者の選び方の合理性、手続きの妥当性の4つです。「業績が悪い」と言うだけでは足りず、説明や代わりの提案をしたかも問われます。

認められやすい理由と、争える余地がある理由

経歴や資格の重大な虚偽が後から分かった場合は、取り消しが認められる方向に働きます。経歴を盛ることの線引きは未経験IT転職、経歴やスキルは「どこまで盛っていい」?詐称になる線引きとバレ方【2026年版】で整理しています。

内定取り消し | 理由別の見え方

取り消し理由と争える余地

最終的な判断は個別の事情で変わります

内定時に会社が知り得たか争える余地
経歴・資格の重大な虚偽 本人側の事情 × 知り得なかった事実になりやすい × 取り消しが認められる方向
会社の業績悪化 会社側の事情 △ 内定後の悪化かどうかで変わる △ 4要素と説明の誠実さで判断
面接での印象・性格 選考時に分かる情報 ○ 選考中に確認できた内容 ○ 合理性を欠くと判断されうる
  • ※「争える余地」は有効・無効を保証するものではありません
  • ※判断に迷ったら総合労働相談コーナーや弁護士に相談してください

IT転職ナビ

面接で分かっていたはずの「雰囲気が合わない」「思ったより経験が浅い」といった理由は、内定時に知り得た事情です。未経験枠で採用しておきながら「経験不足」を理由にするのは、基準の1つ目に照らして弱い理由になります。

前職を辞めた後の取り消しの裁判例

中途採用で前職を辞めた後に内定を取り消された事件として、インフォミックス事件(東京地裁・1997年10月31日決定)がよく知られています。

労働新聞社の判例解説などによると、概要は次のとおりです。大手IT企業に勤めていた人が、別の会社からマネージャー職として誘われ、面接を重ねて採用条件の提示を受けました。本人は前の会社に退職届を出しましたが、会社は経営悪化を理由に、入社の約2週間前になって内定を取り消しました。

裁判所は、経営悪化という理由には一定の合理性を認めました。一方で、長く勤めた会社を辞めた本人への対応が誠実さを欠いていたとして、取り消しを無効と判断しています。賃金の仮払いも認められました。

この事件から分かるのは、「前職を辞めさせた後かどうか」と「会社がどれだけ誠実に説明・補償したか」が判断に影響するという点です。取り消しの連絡を受けたら、やり取りの経緯を記録に残すことが後で効いてきます。

取り消しの連絡から48時間でやること

最初の2日間の動き方で、後の選択肢が変わります。電話で連絡が来た場合を前提に、順番に並べます。

1. その場で承諾・合意書へのサインをしない

「分かりました」と言ってしまうと、合意で内定を解消したと主張されるおそれがあります。「突然のことなので、理由を書面でいただいてから検討します」と伝えて電話を終えてください。「辞退したことにしてほしい」と頼まれても、応じる必要はありません。

2. 取り消しの理由を書面で求める

労働基準法22条は、解雇の予告を受けた人が理由を記した証明書を求めた場合、会社は遅滞なく交付しなければならないと定めています。内定取り消しでこの規定がそのまま使えるかは事案によりますが、メールで理由の説明を求めること自体は誰でもできます。

3. 手元の書類と記録を集める

  • 内定通知書・採用条件の提示書・労働条件通知書
  • 入社承諾書の控え
  • 採用担当やエージェントとのメール・チャット
  • 取り消しの電話の日時と話した内容のメモ
  • 前職の退職届を出した日付が分かるもの

4. 前職の退職日を確認する

退職届を出していても、まだ退職日を迎えていない人は、前の会社に撤回を相談できる場合があります。受け入れるかは会社次第です。相談するなら早いほうが通りやすくなります。

5. エージェント経由なら担当者に経緯を伝える

転職エージェント経由の内定なら、担当者にすぐ連絡してください。企業との間に入って事情を確認してもらえることがあります。あわせて次の求人の相談も始められます。

無料で使える相談先と費用

相談先は、目的によって選び分けます。まず「どうしたいか」を決めてください。内定を元に戻したいのか、金銭で解決したいのか、次に進むための整理がしたいのかで窓口が変わります。

内定取り消し | 相談先

相談先ごとの費用とできること

1か所だけでなく組み合わせて使えます

費用できること
総合労働相談コーナー 各都道府県の労働局など ○ 無料 △ 情報提供と助言が中心
労働局のあっせん 紛争調整委員会 ○ 無料 △ 話し合いの場。参加は任意
弁護士 労働問題に強い事務所 △ 有料が基本。初回無料の所もある ○ 交渉・労働審判・訴訟まで対応
  • ※法テラスの無料法律相談は収入・資産の条件があります
  • ※費用や条件は各窓口の公式情報でご確認ください(最終確認日:2026-09-28)

IT転職ナビ

総合労働相談コーナーは、解雇や労働条件のトラブルを無料で相談できる厚生労働省の窓口です。予約なしで電話や来所の相談ができ、会社への対応の仕方や、使える制度を教えてもらえます。

労働局のあっせんは、第三者が間に入って話し合いを進める制度です。費用はかかりません。ただし会社が参加を断ることもあり、結論に強制力はありません。

弁護士に依頼すると、会社との交渉や労働審判まで任せられます。費用はかかりますが、前職を辞めて収入が止まっているなど損害が大きいときは、早めに相談する価値があります。

失業手当と生活費の確認

前職をすでに退職している場合は、雇用保険の基本手当(失業手当)の手続きを確認してください。受け取れるかどうかと給付の時期は、前職の離職理由と加入期間で決まります。

内定取り消しを受けても、前職の退職そのものは自分から申し出たものです。前職の離職理由は自己都合退職として扱われるのが一般的です。厚生労働省・労働局の案内によると、2025年4月1日以降に正当な理由なく自己都合で辞めた場合、給付制限期間は原則1か月です(最終確認日:2026-09-28)。

ただし、過去5年間に2回以上、正当な理由のない自己都合退職で受給資格の決定を受けている人は、給付制限が3か月になります。自分の条件はハローワークの窓口で確認してください。

健康保険と年金の切り替えも忘れやすい手続きです。国民年金への切り替えは退職日の翌日から14日以内が期限なので、次の職が決まるまでの空白期間ができるなら先に手続きを済ませます。

次の転職活動の立て直し方

内定取り消しは、多くの場合あなたの能力の問題ではありません。次の選考で必要以上に隠したり、自分を責める言い方をしたりする必要はないのです。

面接で聞かれたら事実を短く伝える

経歴に空白が出た理由を聞かれたら、「内定をいただいた会社の経営方針の変更で、入社前に取り消しになりました」と事実だけを伝えます。前の会社の悪口は言わず、その後に何をしていたかを続けてください。学習を続けていたなら、作った成果物や資格の勉強の進み具合が話の材料になります。

次の内定では書面を先に確認する

同じことを繰り返さないために、次の内定では入社前に書面をそろえてもらいます。確認すべきポイントは未経験のIT転職、内定後の「労働条件通知書」はどこを見る?固定残業代・就業場所の変更の範囲・研修費返還の3点【2026年版】にまとめています。口頭だけで内定を伝えられた場合は、「内定です」と口頭で言われただけ…未経験のIT転職で内定通知書・労働条件通知書が来ないときの確認手順【2026年版】の手順で書面を求めてください。

退職日は書面が届いてから決める

在職中の人が次に動くときは、労働条件通知書を受け取ってから退職届を出す順番にします。入社日と退職日の間を空けすぎないことも、万一のときの生活費の備えになります。

方向性から考え直したい人は、IT/Web転職タイプ診断(無料)で職種の候補を広げるところから始めるのも一つの方法です。開発職だけでなく、インフラ運用・テスト・社内SEなども未経験の入口になります。

ひとりで求人を探し直すのが負担なら、未経験からのIT就職を専門に扱うサポートに相談する方法もあります。取り消しの経緯をどう説明するかや、入社前に書面を確かめる会社選びを一緒に整理できます。

よくある質問

Q. 内定取り消しで、会社にお金を請求できますか。

A. 取り消しが無効と判断されれば、入社日以降の賃金を請求できる可能性があります。無効とまでいえない場合でも、会社の対応が不誠実だったとして損害賠償が認められた裁判例があります。金額や見込みは事案ごとに違うため、弁護士への相談で確認してください。

Q. 解雇予告手当はもらえますか。

A. 内定取り消しが解雇にあたる場合、労働基準法20条の解雇予告の規定が適用される場合があるとされています。一方で、入社前の内定者には適用を否定した裁判例もあると「確かめよう労働条件」は説明しています。一律にはいえないため、窓口で自分のケースを聞いてください。

Q. 取り消しを受け入れて、別の会社を探すほうが早いですか。

A. 早く次へ進みたい気持ちは自然です。ただ、受け入れる前に理由の書面と経緯の記録だけは確保しておいてください。記録があれば、後から補償を求めたくなったときにも選択肢が残ります。争うかどうかと、次の転職活動を始めるかどうかは同時に進められます。

Q. エージェントから紹介された会社でも、取り消しはエージェントの責任ですか。

A. 雇用契約の当事者は、あなたと内定を出した会社です。取り消しの責任を負うのは原則として会社側です。エージェントには経緯の確認や次の求人の紹介を頼めます。

まとめ

内定取り消しの連絡を受けたら、次の順で動いてください。

  1. 電話口で承諾しない。「辞退扱い」の依頼にも応じない
  2. 取り消しの理由をメールなど書面で求め、書類と記録を集める
  3. 前職の退職日がまだ先なら、撤回できないか早めに相談する
  4. 総合労働相談コーナーなど無料の窓口で、自分のケースの見込みを聞く
  5. 失業手当と保険の手続きを確認し、次の転職活動は書面をそろえてから入社を決める

今日できることは、取り消しの連絡の日時と内容をメモに残すことです。

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参考情報

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、転職・収入を保証するものではありません。個別の事案の判断は、労働局の窓口や弁護士にご相談ください。