未経験IT求人の「固定残業代込み」が分からない|求人票で見る3点
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未経験IT求人の「固定残業代込み」が分からない|求人票で見る3点

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未経験OKのIT求人で「月給25万円(固定残業代含む)」と書かれていると、今の給料より高く見えて気持ちが動きます。ただ、その25万円のうち何円が残業代で、何時間分なのかが分からないままだと、ほかの求人と比べられません。

結論から書きます。求人票では①固定残業代を除いた基本給 ②何時間分でいくらか ③その時間を超えた分は追加で払うことの3点を探してください。厚生労働省は、固定残業代を使う会社に対して、この3点をすべて求人票や募集要項に書くよう求めています。3点がそろっていれば、時間数と金額が合っているかを電卓で確かめられます。そろっていなければ、応募前か面接で質問する項目になります。

固定残業代とは一定時間分の残業代の前払い

固定残業代とは、実際に残業したかどうかに関係なく、決まった時間分の残業代を毎月定額で払うしくみです。「みなし残業」と呼ばれることもあります。

厚生労働省のリーフレットでは、固定残業代を「その名称にかかわらず、一定時間分の時間外労働、休日労働および深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金」と説明しています(最終確認日:2026-11-01)。名前が「固定残業代」でも「□□手当」でも、中身が残業代の定額払いなら同じルールが当てはまります。

固定残業代そのものは違法なしくみではありません。問題は、求人票の書き方しだいで月給が実態より高く見えることです。

同じリーフレットには、ハローワークに寄せられた「求人票の内容と実際の労働条件が違う」という申出で、いちばん多いのが「賃金に関すること(固定残業代を含む)」だったという厚生労働省の調べ(平成27年度)も載っています。未経験の人だけが読み違えるわけではない、ということです。

求人票に書くべき3点と記載例

固定残業代を使う会社が求人票に書くべき内容は、厚生労働省の資料で決まった形が示されています。根拠は、職業安定法にもとづく指針(平成30年1月1日から追加)と、若者雇用促進法にもとづく指針です(最終確認日:2026-11-01)。

厚生労働省が示している記載例は次のとおりです。

  1. 基本給(××円)(②の手当を除く額)
  2. □□手当(時間外労働の有無にかかわらず、○時間分の時間外手当として△△円を支給)
  3. ○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給

あわせて、次の注意点も書かれています。

  • 「□□」には、固定残業代にあたる手当の名前を書く
  • その手当に固定残業代以外のお金が混ざっているなら、固定残業代の分を分けて書く
  • 深夜労働や休日労働を固定残業代に含める場合も、同じように書く

実際の求人票は、この3点がきれいにそろっているものばかりではありません。よく見かける書き方を、読み取れることの多さで並べると次のようになります。

求人票の読み方 | 未経験IT転職

固定残業代の書き方3パターン

3点がそろっているほど、応募前に比べやすくなります

基本給時間数と金額超えた分
3点がそろった書き方 例:基本給20万円+固定残業手当5万円(45時間分)超過分は追加支給 ○ 金額が分かる ○ 時間数も金額も分かる ○ 追加で払うと書いてある
時間数が抜けた書き方 例:月給25万円(固定残業代5万円含む) △ 引き算すれば出せる × 何時間分か分からない △ 書いていなければ質問
「含む」だけの書き方 例:月給25万円(残業代含む) × 分からない × 分からない × 分からない
  • ※求人票のスペースが足りない場合は「詳細は面談の時にお伝えします」と書いて別に示すことも認められています。その場合も原則として、最初の面接など求職者と最初に接触する時点までにすべての条件を示すべきとされています
  • ※手当の名前だけでは残業代かどうか判断できません。何時間分の残業代なのかを確認してください

IT転職ナビ

求人サイトの「給与」欄に月給しか出ていなくても、求人の本文や「待遇」欄の下のほうに内訳が書かれていることがあります。給与欄だけで判断せず、求人ページを最後まで読んでから次の計算に進んでください。

時間数と金額が合っているか計算する

3点が書かれていたら、次は固定残業代の金額が書かれた時間数に見合っているかを確かめます。計算は3段階です。

ステップ1:1か月の所定労働時間を出す。 求人票に「月平均所定労働時間」が書いてあればその数字を使います。書いていなければ、年間休日と1日の所定労働時間から目安を出せます。

(365日 − 年間休日)× 1日の所定労働時間 ÷ 12か月

年間休日125日・1日8時間なら、240日×8時間÷12で月160時間です。

ステップ2:1時間あたりの賃金を出す。 固定残業代を除いた基本給(と、残業代の計算に入る手当)を、ステップ1の時間で割ります。厚生労働省の「確かめよう労働条件」では、月給制の1時間あたり賃金を「1年間における1か月平均所定労働時間数で除した金額」としています。家族手当・通勤手当・住宅手当などは、実質に応じて計算から外れることがあります(最終確認日:2026-11-01)。

ステップ3:残業1時間の単価をかける。 時間外労働の割増率は25%以上です(労働基準法37条)。1時間あたり賃金に1.25をかけ、固定残業の時間数をかけます。

架空の求人2つで比べた例

ここからの数字は、計算の手順を見せるための架空の例です。どちらも年間休日125日・1日8時間(月160時間)、基本給以外に計算に入る手当はない前提にしています。

求人A求人B
求人票の月給25万円24.3万円
うち固定残業代5万円(45時間分)3.3万円(20時間分)
固定残業代を除いた基本給20万円21万円
1時間あたり賃金1,250円約1,313円
残業1時間の単価(×1.25)約1,563円約1,641円
書かれた時間分に必要な額約70,300円約32,800円
固定残業代で足りるか約2万円足りない足りている

求人Aは月給が7千円高く見えます。ところが基本給は1万円低く、固定残業の時間は25時間長い求人です。さらに45時間分に必要な額は約7万円なのに、固定残業代は5万円しかありません。5万円で払える時間は、5万円÷約1,563円で約32時間分です。

このように、書かれた時間数と金額が計算上かみ合わない求人は、応募前か面接で質問してください。単なる書き間違いのこともあります。計算の前提(所定労働時間や手当の扱い)が求人票から読めないこともあるので、計算結果だけで違法かどうかを決めつけないでください。

基本給で最低賃金を下回らないか見る

固定残業代を除いた基本給が、地域の最低賃金を下回っていないかも確かめておきます。厚生労働省は、月給制の場合の確かめ方を「月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)」と示しています(最終確認日:2026-11-01)。

ここで大事なのは、最低賃金と比べるお金から、時間外割増賃金・通勤手当・精皆勤手当・家族手当・賞与などが除かれる点です。固定残業代は時間外割増賃金なので、最低賃金の計算には入りません。

月給の総額が高く見えても、固定残業代を引いた基本給で計算すると最低賃金ぎりぎり、ということがありえます。働く予定の都道府県の最低賃金は、厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」で確認できます。最低賃金は毎年改定されるので、発効日もあわせて見てください。

時間数の多さから働き方を読む

固定残業の時間数は、その会社が毎月どのくらいの残業を想定しているかの手がかりになります。

時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です(労働基準法・働き方改革関連法による上限規制、最終確認日:2026-11-01)。固定残業が45時間分と書かれていれば、原則の上限いっぱいまでの残業代を先に払う設計だということです。毎月45時間働かせるとは限りませんが、その近くまで残業がある前提の職場かもしれない、と考えて質問する理由になります。

なお、月60時間を超える時間外労働の割増率は50%以上です。中小企業にも2023年4月1日から適用されています。

固定残業代は、残業が少ない月も定額が出るしくみです。時間数が短めで実際の残業も少ない職場なら、働く側に不利なしくみとは限りません。時間数の大小だけで良し悪しを決めず、次の質問で実態を確かめてください。

入社してから残業が多いと感じた場合の確かめ方は、エンジニア1年目の残業がきつい…未経験で入った人が「普通か違法か」を確かめる手順【2026年版】にまとめています。

書いていないときの質問の仕方

3点が書かれていない、または計算が合わないときは、応募前の問い合わせか面接の逆質問で確かめます。責める聞き方ではなく、事実を確認する形にすると答えてもらいやすくなります。

状況別の質問例

  • 時間数がないとき:「月給に含まれる固定残業代は、何時間分として計算されていますか」
  • 超過分の記載がないとき:「固定残業の時間を超えて働いた月は、超えた分の残業代は別に支給されますか」
  • 実態を知りたいとき:「直近で入社された未経験の方は、月の残業時間が平均でどのくらいでしょうか」
  • 手当の中身が分からないとき:「○○手当は、残業代にあたる手当でしょうか。それ以外の手当でしょうか」

回答は、メールなど文字で残る形でもらってください。口頭で聞いた場合も、「先ほどのご説明を確認させてください」とメールで要点を送っておくと記録になります。

条件の質問をすると選考で不利になるのでは、と心配になるかもしれません。ただ、固定残業代の3点は会社が求人票に書くよう求められている内容です。質問に具体的な答えが返ってこない場合は、その反応も応募を続けるかどうかの判断材料にしてかまいません。

面接で希望年収を聞かれたときの答え方は、IT転職の面接で希望年収を聞かれたら?未経験の答え方と決め方で整理しています。自分に合う職種がまだ決まっていない人は、IT/Web転職タイプ診断(無料)で方向性を先に絞ると、比べる求人の数を減らせます。

内定後と入社後に確かめること

応募前に確認した内容は、内定後に受け取る労働条件通知書で同じ3点がそろっているかを見直します。

求人票の条件が内定時に変わる場合は、会社が変更内容を示す必要があります(職業安定法による変更明示)。厚生労働省の資料では、「基本給30万円の予定が28万円になる」「当初になかった手当が新たに加わる」といった例が挙げられています(最終確認日:2026-11-01)。求人票と見比べられるよう、応募した求人票の画面は保存しておいてください。

労働条件通知書の読み方は、内定後の労働条件通知書、未経験が見る3点|固定残業代などで、就業場所の変更の範囲や研修費の特約とあわせて解説しています。

入社後に、固定残業の時間を超えて働いたのに超過分が払われていないと感じたときは、自分だけで判断しないでください。勤務時間の記録と給与明細を手元に残し、都道府県労働局の総合労働相談コーナーや労働基準監督署に相談できます。

ひとりで求人票を読み比べるのが不安な人は、未経験者向けの就職支援サービスを使う方法もあります。紹介された求人なら、条件についての質問を担当者に伝えて確認してもらえる場合があります。対応の範囲はサービスごとに違うため、登録前に公式サイトで確かめてください。

就職支援サービスを使っても、条件の良い会社に必ず入れるわけではありません。最後に求人票の3点を読んで決めるのは自分です。

よくある質問

Q. 固定残業代がある求人は避けたほうがいいですか?

A. 一律に避ける必要はありません。固定残業代は法律で認められたしくみで、残業が少ない月も定額が支払われます。判断の分かれ目は、3点が書かれているか、時間数と金額が計算上合っているか、実際の残業時間がどのくらいかの3つです。

Q. 求人票に「年収350万円(固定残業代含む)」としか書いていません。どう読めばいいですか?

A. 年収の表示だけでは、月給と賞与の内訳も、固定残業代の時間数も分かりません。月給はいくらで年何回分か、賞与は含まれているか、固定残業代は月いくらで何時間分か、を質問してください。月の内訳が分かれば、この記事の計算に当てはめられます。

Q. 固定残業の時間より残業が少なかった月は、固定残業代が減りますか?

A. 厚生労働省の記載例では「時間外労働の有無にかかわらず、○時間分の時間外手当として△△円を支給」と書く形が示されています。この形で書かれていれば、残業が少ない月も定額が支払われる設計です。実際の扱いは労働条件通知書と就業規則の書き方で確認してください。

Q. 「みなし残業」と「裁量労働制」は同じものですか?

A. 別の制度です。固定残業代は残業代の一部を定額で前払いするしくみです。裁量労働制は、実際の労働時間ではなく決められた時間働いたものとみなす制度で、求人票には「企画業務型裁量労働制により、○時間働いたものとみなされます」のような記載が必要とされています。求人票にどちらが書かれているかを見分けてください。

Q. 深夜や休日に働いた分も固定残業代に含まれますか?

A. 求人票の書き方しだいです。厚生労働省の資料では、深夜労働や休日労働を固定残業代に含める場合も、同じように時間数と金額を書く必要があるとされています。書かれていなければ、深夜・休日の分は別に支払われるのかを質問してください。

まとめ

未経験IT求人の「固定残業代込み」は、次の順番で読むと比べられるようになります。

  1. 求人票で3点(固定残業代を除いた基本給・何時間分でいくらか・超えた分の追加支払い)を探す
  2. 時間数と金額が合っているかを、所定労働時間と1.25倍で計算する
  3. 固定残業代を引いた基本給で、最低賃金を下回らないか確かめる
  4. 時間数が45時間に近ければ、実際の残業時間を質問する
  5. 書いていない・計算が合わないときは、応募前か面接で文字に残る形で聞く
  6. 内定後は労働条件通知書で同じ3点を見直す

月給の総額どうしで比べるのをやめ、固定残業代を引いた基本給どうしで比べてください。それだけで、見かけの月給に引っぱられた応募を減らせます。

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参考情報

いずれも最終確認日:2026-11-01

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、転職・収入を保証するものではありません。個別の求人や労働契約が法律に合っているかの判断は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーや労働基準監督署など、専門の窓口にご相談ください。