SESで経歴詐称を強要されたら?断り方と記録の残し方
不安解消

SESで経歴詐称を強要されたら?断り方と記録の残し方

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未経験でSES企業に入ったら、営業担当から「スキルシートには実務2年と書いておいて」と言われた。客先面談の練習では「経験あると答えればいい」と教えられた。断ったら案件に入れないのでは、と不安になる人がいます。

先に結論です。実務経験の年数や参加していないプロジェクトを書き足すのは、会社の指示でも断って構いません。 断るときは口頭で済ませず、指示と自分の返答を文字で残します。会社が指示を変えないなら、1年目でも離れる準備を始める段階です。

「盛る」と経歴詐称の境目

スキルシートで許されるのは、事実の見せ方を工夫するところまでです。事実そのものを変えた時点で経歴詐称になります。

SES企業のスキルシートは、客先が要員を選ぶための資料です。客先は書かれた経験を前提に、作業の割り当てや単価を決めます。事実と違う内容が書かれていれば、客先は誤った前提で契約することになります。

SES | スキルシートの書き方

工夫の範囲と経歴詐称の違い

会社の指示でも、事実を変える書き方は断る

事実との関係断ってよいか
学習内容や成果物を具体的に書く スクール・独学の範囲を明記 ○ 事実のまま ○ 従ってよい書き方
前職の業務をIT寄りの言葉に言い換える 中身が変わらない範囲まで △ 言い過ぎると事実とずれる △ 説明できる範囲に直す
実務年数の水増し・未参加の案件を記載 営業の指示でも同じ × 事実と違う × 断ってよい
  • ※氏名をイニシャルにする等の匿名化は、多くのSES企業で通常行われる処理で、経歴詐称とは別の話です

IT転職ナビ

判断に迷ったときは、次の2つを自分に問うと線が引けます。

  • 面談で「その案件で何をしましたか」と聞かれて、具体的に答えられるか
  • 客先がその記載を事実だと知ったら、同じ条件で契約するか

どちらかに「いいえ」が付く記載は、書き方の工夫ではありません。

なぜ未経験に経歴詐称が指示されるのか

理由は単純で、未経験のままでは客先面談が通りにくく、案件が決まらないと会社の売上が立たないからです。

日経クロステック(2025年1月公開)は、未経験者を集めて経歴を偽らせる手口を報じています。記事によると、求人で「完全未経験でも大丈夫」と募り、研修ではプログラミングよりスキルシートを盛る方法と面談の乗り切り方を教える流れがあります。記者は詐称のマニュアルそのものも入手したとしています。

同じ記事では、その後の流れも書かれています。現場に入っても業務がこなせず、精神的に追い詰められて辞める。会社は次の未経験者を募集する。この循環で一番損をするのは、経歴を偽って現場に送り込まれた本人です。

指示に従ったときに本人が負うもの

会社の指示だったとしても、面談で嘘を話し、現場で働くのは本人です。責任のすべてを会社に押しつけられるとは限りません。

IT転職メディアの解説では、虚偽の経歴で客先から報酬を受け取った場合に詐欺罪(刑法246条)にあたる可能性が指摘されています。指示した会社だけでなく、面談で虚偽の説明をした本人も責任を問われうるという見方です。実際に罪になるかは個別の事情で決まるため、ここで断定はできません。

法律の話を別にしても、本人に返ってくる損は次のとおりです。

  • 現場で経験者向けの作業を振られ、できないことがすぐに分かる
  • 契約途中で現場から外され、待機や評価の低下につながる
  • 偽った経歴が次の転職で説明できない職歴として残る

一番重いのは、偽った経歴が職歴として残ることです。1年後に別の会社へ応募するとき、職務経歴書には本当のことしか書けません。偽った経歴のまま働いた期間は、自分の言葉で説明できる経験になりにくいからです。

断るときの伝え方と例文

断るときは「できない」ではなく「事実と違うことは書けない」と理由を添えます。そのうえで代わりの案を出すと、話が前に進みやすくなります。

営業担当へのチャットやメールなら、次のような書き方です。

スキルシートの件でご相談です。実務経験2年と記載するご指示をいただきましたが、実際の実務経験はありません。事実と違う内容は面談で説明できないため、記載は控えさせてください。代わりに、研修で作った成果物と使った技術を具体的に書いた版を本日中にお送りします。

ポイントは3つあります。

  • 何を指示されたかを文面に書く(後から記録として使える)
  • 断る理由を「説明できない」という実務の問題にする
  • 代わりの案を出して、仕事を止めない姿勢を示す

客先面談で「経験ありと答えて」と言われた場合も同じです。面談の場では、学んだ範囲とできる作業を正直に答えます。面談で落ちる原因と準備は、SESの客先面談が通らない理由の記事で詳しく整理しています。

指示を記録に残す方法

経歴詐称の指示は、口頭で出されることが多いものです。後で相談するときに備えて、記録を残しておきます。

  • 口頭で言われたら、その日のうちにチャットで「本日のご指示の確認です」と内容を送る
  • 会社が作ったスキルシートのファイルを、日付が分かる形で保存する
  • いつ・誰に・何を言われたかを、日付入りのメモに書く

記録に残すのは、会社を訴えるためだけではありません。自分は事実と違う記載に同意していない、と後から示すための材料になります。会社の機密情報を社外に持ち出すことは別の問題を生むため、保存するのは自分に関わる指示とスキルシートに限ります。

断ったら不利になる?相談できる窓口

断った結果、待機が長引く、評価を下げると言われる、といった不利な扱いを受ける可能性はあります。ただし、会社が労働者を辞めさせる場合には法律上の制限があります。

労働契約法16条は、客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当と認められない解雇を無効としています。事実と違う経歴を書かなかったことが、この理由にあたるとは考えにくいのが一般的な見方です。個別の判断は専門の窓口で確認してください。

相談先は次のとおりです。

  • 総合労働相談コーナー:厚生労働省の窓口。各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内など378か所にあり、解雇・いじめ・嫌がらせなど労働問題全般が対象。予約不要・無料
  • 法テラス:法的トラブルの相談先を案内する国の窓口。弁護士への相談を検討するときの入口になる

最終確認日:2026-09-27。窓口の受付時間や条件は、各公式ページでご確認ください。

続けるか離れるかの判断ライン

一度断って会社が指示を取り下げたなら、そのまま働き続ける選択もあります。営業担当個人の判断だった場合は、上司に相談すると収まることもあります。

離れる準備を始めたほうがよいのは、次のどれかに当てはまるときです。

  • 断っても同じ指示が繰り返される
  • 研修の内容が技術ではなく、スキルシートの書き方と面談対策ばかり
  • 社員同士の連絡を禁じるなど、実態を隠そうとする動きがある

社員同士の連絡禁止は、日経クロステックの記事でも手口の1つとして挙げられています。当てはまる会社で経験を積んでも、次に説明できる職歴になりにくいのが実情です。

在籍1年未満で転職すると、短期離職として面接で理由を聞かれます。「経歴詐称の指示を断った」は、伝え方を整えれば筋の通った退職理由になります。辞め方のルールは、SESを案件の途中で辞めたいときの記事で確認できます。

次の職種の方向を決めかねている場合は、IT/Web転職タイプ診断(無料)で開発職以外の候補も並べておくと、相談の場で話が早く進みます。

よくある質問

「みんなやっている」と言われたら従うべき?

従う必要はありません。業界で同じ手口が報じられていることは、正しいことの根拠になりません。面談で説明できない記載は、周りがどうであれ本人の負担として返ってきます。

スキルシートの提出後に詐称に気づいたらどうする?

まず、どの記載が事実と違うかを営業担当に文面で伝え、修正を求めます。修正の記録が残れば、自分が事実と違う記載を続けるつもりがなかったことを示せます。すでに現場に入っている場合は、総合労働相談コーナーか弁護士に早めに相談してください。

入社前に経歴詐称をさせる会社を見分けられる?

完全には見分けられません。面接や説明会で、次の2つを質問すると手がかりになります。

  • 未経験の社員は、客先面談でどんなスキルシートを出していますか
  • 研修のうち、技術の学習と面談対策の割合はどれくらいですか

答えがあいまいな会社や、スキルシートを見せてもらえない会社は慎重に判断します。紹介先の会社を見極める質問は、無料スクールの紹介先がSESばかりか確かめる記事にもまとめています。

自分で盛って書くのはどこまで許される?

会社の指示がなくても、事実を変える書き方は同じく経歴詐称です。事実の範囲で強く見せる書き方は、経歴を「どこまで盛っていい」かの線引きの記事で整理しています。

まとめ

  • スキルシートで許されるのは見せ方の工夫まで。実務年数の水増しや未参加の案件の記載は、会社の指示でも断ってよい
  • 断るときは理由と代わりの案を文面で出し、指示の内容も記録に残す
  • 不利な扱いを受けたら、総合労働相談コーナーか法テラスに相談する
  • 同じ指示が続く会社は、1年目でも離れる準備を始める段階

今日できる1手は、営業担当に言われた指示を日付入りでメモに書くことです。


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参考情報

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、転職・収入を保証するものではありません。個別の事情についての法的な判断は、総合労働相談コーナーや弁護士など専門の窓口にご相談ください。